相続空き家を3,000万円で売却|3,000万円特別控除で概算手取りはいくら?

query_builder 2026/09/06
相続
相続空き家を3,000万円で売却|3,000万円特別控除で概算手取りはいくら?


相続不動産を3,000万円で売却した場合の手取り額を、条件別に比較するシリーズです。


第3話では、親が一人で住んでいた実家について、「被相続人の居住用財産(相続空き家)の3,000万円特別控除」を適用できる場合を比較します。以後、この記事では「相続空き家の3,000万円特別控除」と表記します。


今回の条件では、特例を使わない第1話で約557万円だった譲渡所得に対する税金が0円となり、今回計上した費用を差し引いた概算手取りは28,934,000円、約2,893万円です。


ただし、相続した空き家なら自動的に使える制度ではありません。第3話で最も確認したいのは、売却期限、建築時期、相続後の利用状況、耐震・取壊しなどの条件です。


今回の比較条件

今回の事例は、次の条件で試算します。


・個人の相続人1名が、親から家屋と敷地の両方を相続
・親は相続開始直前まで、その家に一人で居住
・昭和56年5月31日以前に建築された戸建て
・区分所有建物ではない
・相続後から売却まで、事業、賃貸、相続人などの居住に使用していない
・家屋と敷地を第三者へ合計30,000,000円で売却
・その相続について、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却
・2026年9月時点の現行制度の適用期限である2027年12月31日までに売却
・売却価格の合計は1億円以下
・親族など特別の関係がある人への売却ではない
・令和6年1月1日以後の売却
・売却後、買主が売却日の属する年の翌年2月15日までに家屋を全部取り壊し、制度上の必要要件を満たすものとして比較
・被相続人の購入価格は証明できず、概算取得費5%を使用
・仲介手数料:1,056,000円(税込・上限額を支払う前提)
・印紙税:10,000円(紙の契約書を作成し、軽減措置の対象となる前提)
・登記費用、測量費、解体費、残置物撤去費などは今回の計算から除外
・固定資産税等の精算金は含めない
・住宅ローンなどの残債なし
・被相続人から取得時期を引き継ぎ、特例を使わない場合は長期譲渡所得20.315%で比較
・相続税の取得費加算、その他の特例は使用しない
・相続空き家の3,000万円特別控除を適用できるものとして試算
・必要書類を添えて確定申告するものとする


実際の適用可否は個別条件によって異なります。税務上の判断は税理士または税務署へ確認してください。


特例を使わない場合の売却益は2,743万4,000円


まず、第1話と同じ条件で売却益を計算します。

30,000,000円 − 1,500,000円 − 1,056,000円 − 10,000円
= 27,434,000円


・売却価格 30,000,000円
・概算取得費 ▲1,500,000円
・仲介手数料 ▲1,056,000円
・印紙税 ▲10,000円
・特別控除前の売却益 27,434,000円


特例を使わなければ、この27,434,000円が税金計算の対象となり、長期譲渡所得の税率20.315%で試算した税額は約5,573,217円です。


相続空き家の3,000万円特別控除を使うとどうなる?


今回は、相続空き家の3,000万円特別控除を適用できるものとして計算します。


27,434,000円 − 特別控除27,434,000円
= 税金計算の対象0円


3,000万円が現金でもらえる制度ではありません。要件を満たした場合に、譲渡所得から最高3,000万円まで差し引く制度であり、今回の売却益は27,434,000円なので控除額も27,434,000円です。


税金計算の対象が0円となるため、今回の条件では譲渡所得に対する税金も0円です。


30,000,000円 − 1,056,000円 − 10,000円 − 税金0円
= 28,934,000円


今回計上した費用と税金を考慮した概算手取りは28,934,000円、約2,893万円となります。


登記、測量、実際に負担する解体費、残置物撤去費などは今回の試算に含めていません。


また、税額が0円でも特例は自動的に適用されません。必要書類を添えて確定申告する必要があります。


参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm


第1・2話と比べると手取りはどう変わる?


シリーズ3記事の違いを並べると、次のようになります。


・第1話 特例を使わない基準ケース
 概算手取り 23,360,783円(約2,336万円)


・第2話 相続人自身の居住状況により、Aだけが自分のマイホームの3,000万円特別控除を使うケース
 2人合計概算手取り 26,147,392円(約2,615万円)


・第3話 被相続人が一人で住んでいた実家について、相続空き家の3,000万円特別控除を使うケース
 概算手取り 28,934,000円(約2,893万円)

第1話との差は約5,573,217円、約557万円です。

第2話との差は約2,786,608円、約279万円です。


これは金額の優劣を比べるランキングではありません。第1話、第2話、第3話では居住状況や制度の前提が異なるため、ご自身の状況に近いケースを確認するための比較です。


すべての相続空き家が対象になるわけではない


相続空き家の3,000万円特別控除は、「親が住んでいた空き家を相続した」というだけで適用できる制度ではありません。


売却方法を決める前に、物件と相続の状況を確認する必要があります。


まず確認したい7項目


・相続または遺贈によって、家屋とその敷地を取得したか

・家屋が昭和56年5月31日以前に建築されているか

・区分所有建物ではないか

・相続開始直前に被相続人が居住し、原則として被相続人以外の居住者がいなかったか

・相続後、売却するまで事業、賃貸、居住に使用していないか

・売却期限を確認しているか

・売却価格の合計が1億円以下か


売却期限については、2026年9月時点の現行制度では、原則として次の2つを確認する必要があります。


・その相続について、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
・現行制度の適用期限である2027年12月31日まで


どちらか一方だけを見て判断するのではなく、ご自身の相続について実際に適用される売却期限を税理士や税務署などへ事前に確認してください。


また、2027年12月31日は2026年9月時点の現行制度上の期限です。今後の税制改正や延長の有無については、その時点の最新情報を確認する必要があります。


このほか、耐震基準や家屋の取壊し、親族など特別の関係がある人への売却ではないこと、他の制度との関係、確定申告時の必要書類なども確認します。


相続空き家の特別控除は、売却後に確認する制度ではありません。売却期限、建築時期、相続後の利用、耐震・取壊しの進め方を、売却方法を決める前に確認することが大切です。


買主が売却後に家屋を取り壊す場合は、期限まで確認する


令和6年1月1日以後の譲渡では、売却時点で旧耐震の家屋が残っていても、一定の要件を満たせば、売却後の取壊しによって特例の対象となる場合があります。


今回の比較では、買主が売却日の属する年の翌年2月15日までに家屋を全部取り壊す設定です。


買主が期限までに必要な取壊しを行わなければ、特例を受けられない可能性があります。


そのため、売買契約前から買主側と条件を共有し、契約条項、取壊し期限、証明に必要な書類、取壊しの進捗確認を整理しておく必要があります。


税制上の適用可否は税理士または税務署、必要となる確認書類については物件所在地の市区町村などへ確認します。不動産会社では、売却価格、売却期限、売却方法、耐震や取壊しの段取りなど、不動産売却側の条件を整理できます。


親が老人ホームへ入所していた場合は?


親が亡くなる直前に老人ホーム等へ入所していたからといって、一律に対象外になるわけではありません。


要介護認定等を含む一定の要件を満たす場合には、老人ホーム等への入所前に住んでいた家について特例を検討できることがあります。


参考:国税庁「被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3307.htm


相続人が3人以上の場合は控除上限にも注意


今回の試算は、家屋と敷地を取得した相続人が1名なので、控除上限を3,000万円として計算しています。


令和6年1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋・敷地を相続または遺贈により取得した相続人が3人以上の場合は、控除上限が1人当たり2,000万円となります。


人数の数え方や具体的な適用関係は、個別に確認してください。




売却前に準備・確認したいこと


相続空き家の特別控除を検討する場合は、売却後ではなく、売却方法を決める前から確認を始めます。


・登記事項証明書などで建築時期や所有関係を確認する
・相続前後の居住・利用状況が分かる資料を残しておく
・相続ごとの売却期限と、現行制度の適用期限を具体的な日付で確認する
・物件所在地の市区町村へ「被相続人居住用家屋等確認書」の手続きを確認する
・耐震または取壊しをどのように進めるか、売買契約前に整理する
・税理士または税務署へ、特例を適用できるか確認する


相続登記を終えてから、あるいは買主が決まってから初めて確認するのではなく、売却準備の段階から全体を整理しておくことが重要です。


シリーズ第1話

購入価格が分からず、特例も使わない場合
https://green-estate.jp/blog/20260904-7762/


シリーズ第2話

居住状況の違いで、検討すべき制度や手取りがどう変わるか
https://green-estate.jp/blog/20260905-7771/


関連記事

横浜市で相続不動産を売却するなら|相続登記前に確認したい特例と期限
https://green-estate.jp/blog/20260823-7754/


自分に近いケースを確認する


1.購入価格が分からず、特例も使わない場合(第1話)

2.居住状況の違いで、検討すべき制度や手取りがどう変わるか(第2話)

3.相続空き家の3,000万円特別控除を使う場合(今回の記事)

4.購入時の資料があり、取得費と減価償却を計算する場合(近日公開)




相続不動産の売却前に、条件を整理したい方へ


相続空き家の3,000万円特別控除は、売却価格だけで判断できる制度ではありません。物件の条件、相続後の利用状況、売却期限、売却方法などを事前に整理する必要があります。


個別の適用可否や税額は税理士または税務署への確認が必要ですが、不動産会社では、想定売却価格、売却費用、売却時期、耐震や取壊しを含めた売り方の条件を整理できます。


まだ売却すると決めていない段階でも、売却方法を決める前に確認事項を整理しておくことで、その後の税務確認も具体的になります。


相続した実家・不動産の売却について相談する
https://greenestate.jp/consultation/#family-home

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