相続不動産を3,000万円で売却したら概算手取りはいくら?取得費が分からない場合

query_builder 2026/09/04
相続
相続不動産を3,000万円で売却したら概算手取りはいくら?取得費が分からない場合

相続不動産を3,000万円で売却した場合の手取り額を、条件別に比較するシリーズです。


取得費や居住状況、利用できる特例によって税金と手取り額は変わります。


ご自身の状況に近い記事からご覧ください。


相続した不動産が3,000万円で売れた場合、実際に手元へ残る金額はいくらになるのでしょうか。


シリーズ第1話では、今後の比較の基準として、被相続人が購入したときの金額を証明できず、税制上の特別控除などを使わないケースを試算します。


今回の条件における概算手取りは約2,336万円です。


最初に確認しておきたいのは、「売却価格3,000万円」と「3,000万円特別控除」は別物だということです。


3,000万円特別控除は、売却代金から3,000万円をそのまま差し引く制度ではありません。まず取得費や売却費用を差し引いて売却益を計算し、要件を満たす場合に、その売却益から特別控除を差し引きます。


今回の試算条件


・個人の相続人1名が単独所有している相続不動産
・売却価格:30,000,000円
・仲介手数料:1,056,000円(税込・上限額を支払うものとして試算)
・売買契約書の印紙税:10,000円(紙の契約書を作成し、軽減措置の対象となる前提)
・登記費用、測量費、解体費、残置物撤去費などは今回の計算から除外
・固定資産税・都市計画税の精算金は計算に含めない
・住宅ローンなどの残債なし
・被相続人の購入価格を証明できないため、概算取得費として売却価格の5%を使用
・3,000万円特別控除は適用しない
・相続税の取得費加算、その他の特例も適用しない
・売却年の1月1日時点で、被相続人の取得時から通算した所有期間が5年を超えている


相続によって取得した土地や建物は、原則として被相続人の取得費と取得時期を引き継ぎます。


そのため、相続してからの所有年数だけで長期・短期を判定するわけではありません。今回は、被相続人の取得時から通算し、売却年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているため、長期譲渡所得として計算します。


長期譲渡所得の税率は、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%を合わせた20.315%として試算します。


参考:国税庁「相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3270.htm


参考:国税庁「長期譲渡所得の税額の計算」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm


まず、売却代金から仲介手数料と印紙税を差し引く


売却価格3,000万円から、今回の試算に含める売却費用を差し引きます。


仲介手数料1,056,000円は、売買価格3,000万円の場合の上限額(税込)です。今回はこの上限額を支払うものとしていますが、実際の金額は媒介契約の内容によって異なる場合があります。


印紙税10,000円は、紙の不動産売買契約書を作成し、軽減措置の対象となる前提です。電子契約などでは取扱いが異なる場合があります。


・売却価格 30,000,000円
・仲介手数料 ▲1,056,000円
・印紙税 ▲10,000円
・差引後 28,934,000円


売却代金から今回計上した仲介手数料と印紙税を差し引くと、28,934,000円、約2,893万円です。


ただし、ここでは譲渡所得に対する税金をまだ考慮していません。


購入価格が分からないため、概算取得費は150万円


土地や建物を売却したときの税金は、売却価格そのものではなく、取得費や売却費用などを差し引いた売却益をもとに計算します。


売却益 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用


取得費とは、もともとその不動産を取得するためにかかった金額です。


相続した実家などでは、被相続人が購入した当時の売買契約書や領収書が見つからず、実際の購入価格を証明できないことがあります。


取得費が分からない場合には、売却価格の5%相当額を「概算取得費」として計算できる取扱いがあります。


今回の売却価格は3,000万円なので、


30,000,000円 × 5% = 1,500,000円


となります。


参考:国税庁「取得費が分からないとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm


なお、今回のように売却価格の5%を概算取得費として使用する場合、その150万円からさらに建物の減価償却費相当額を差し引く計算ではありません。


購入時の契約書や領収書などから実際の取得費を確認できる場合は、計算結果が大きく変わることがあります。このケースはシリーズ第4話で比較します。


今回、3,000万円特別控除は使わない


今回の計算を3段階で見ると分かりやすくなります。


・売却価格 30,000,000円
・取得費と売却費用を差し引いた売却益 27,434,000円
・今回は特別控除を使わないため、税金計算の対象となる売却益 27,434,000円


計算式は次のとおりです。


30,000,000円 − 1,500,000円 − 1,056,000円 − 10,000円
= 27,434,000円


さらに、特別控除との関係は次のとおりです。


売却益27,434,000円 − 今回適用する特別控除0円 = 税金計算の対象27,434,000円


税務上は、この金額を課税長期譲渡所得として計算します。


3,000万円特別控除には、例えば次のような制度があります。


・売主自身のマイホームを売った場合に検討する控除
・一定の要件を満たす相続空き家を売った場合に検討する控除


3,000万円特別控除は売却価格から差し引く制度ではなく、要件を満たす場合に売却益から差し引く制度です。


今回はシリーズの比較基準を作るため、どちらの特別控除も適用しない前提で試算します。また、相続税の取得費加算という別の制度も今回は使用しません。


適用できる制度は個別条件によって異なるため、実際の適用可否は税理士または税務署へ確認してください。


譲渡所得に対する税金は概算約557万円


税金計算の対象となる売却益27,434,000円に、長期譲渡所得の税率20.315%を掛けます。


27,434,000円 × 20.315% = 約5,573,217円


所得税・復興特別所得税・住民税を合わせた税額は、単純計算で約557万円です。


実際の税額は端数処理や個別事情によって差が生じるため、確定申告時の税額は税理士または税務署へ確認してください。


税金まで考慮した概算手取りは約2,336万円


今回計上した仲介手数料と印紙税を差し引いた金額28,934,000円から、試算した税金約5,573,217円を差し引きます。


28,934,000円 − 5,573,217円
= 23,360,783円


・売却価格 30,000,000円
・仲介手数料・印紙税を考慮した後 28,934,000円
・譲渡所得に対する税金 ▲約5,573,217円
・税金まで考慮した最終的な概算手取り 約23,360,783円


今回の条件では、後日納める税金まで考慮すると、最終的な概算手取りは約2,336万円となります。


売却前に、購入時の資料と検討できる特例を確認する


今回のケースでは、購入価格を証明できないため、取得費を売却価格の5%である150万円として計算しました。


購入時の売買契約書や領収書などが残っていて実額の取得費を確認できれば、税金計算の対象となる売却益と税額が変わる可能性があります。


また、居住状況や相続後の利用状況などによっては、今回使わなかった制度を検討できる場合があります。


そのため、相続不動産の手取りを考えるときは、売却価格だけを見るのではなく、購入時の資料が残っているか、利用できる可能性のある制度があるかを売却前に確認することが大切です。


相続登記や税制上の特例を売却前から確認する考え方について


横浜市で相続不動産を売却するなら|相続登記前に確認したい特例と期限
https://green-estate.jp/blog/20260823-7754/


不動産会社が税務上の適用可否を判断するものではありませんが、想定売却価格、仲介手数料などの売却費用、売却時期を整理しておくことで、税理士や税務署へ相談する際の材料を具体的にできます。


自分に近いケースを確認する


1.購入価格が分からず、特例も使わない場合(今回の記事)

2.居住状況の違いで、検討すべき制度や手取りがどう変わるか

3.相続空き家の3,000万円特別控除を使う場合(近日公開)

4.購入時の資料があり、取得費と減価償却を計算する場合(近日公開)


第2話以降も同じ「3,000万円で売却」という条件をもとに、条件を変えて手取り額を比較します。


相続不動産の売却前に、価格と手取りの前提を整理したい方へ


まだ売却すると決めていない段階でも、想定売却価格や売却時にかかる費用を整理しておくと、税理士や税務署へ税金について確認するときの前提が明確になります。


個別の税額や特例の適用可否は税理士または税務署への確認が必要ですが、不動産売却側の価格・費用・時期については売却前から整理できます。


相続した実家・不動産の売却について相談する
https://greenestate.jp/consultation/#family-home

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横浜市不動産売却相談窓口

住所:神奈川県横浜市金沢区寺前1-1-26-503

電話番号:045-752-9321

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